
動物病院の事業承継(M&A)のメリットデメリットを解説!相場から事例まで紹介
2025年8月7日
近年、動物病院業界では後継者不足や経営者の高齢化が進み、**事業承継(M&A)**の需要が高まっています。これまで個人経営が主流だった動物病院も、企業化や外資の参入、資本提携などを通じてM&A市場が拡大中です。 2025年現在、M&Aを検討する動物病院院長や企業は「どのくらいの価格が相場なのか?」「自院の価値をどう評価されるのか?」という疑問を持つことが増えています。本記事では最新の価格相場と実際の事例をもとに、M&Aを成功させるためのポイントを解説します。
動物病院事業承継(M&A)での売却価格は「営業利益×1~5年分+純資産」が目安とされています。たとえば、年間営業利益が1,000万円、純資産が1,500万円の場合、2,500万~6,500万円が相場感となります。 小規模院では1,000万未満~2,000万円台で成約した病院も多く、規模やエリアによって成約価格は大きく異なります。 2025年の取引事例では、都市部の集患力の高い病院は高額で成約しやすく、地方や個人院では価格が下がる傾向が見られます。
病院規模 | 目安価格帯 |
小規模院(スタッフ5人未満) | 500万~3,000万円 |
中規模院(5~10人) | 3,000万~7,000万円 |
大規模院(10人以上) | 7,000万~1.5億円 |
動物病院の事業承継(M&A)には本体価格(買収額)以外にも様々な費用が発生します。 買い手側は、デューデリジェンス(調査費用)、M&A仲介手数料、契約書作成費用など。 売り手側も、仲介会社への手数料、税務や法務手続き費用がかかります。
2024~2025年も、企業による動物病院の事業承継(M&A)が続いています。 たとえばイオンペットによる東京イースト獣医協会動物医療センターの買収や、WOLVES HANDによる複数病院の吸収合併など、数千万~1億円規模の事例も。
📅 実施日・公表日:2022年6月20日(イオンペット公式発表)
📍 対象病院:東京都江東区の「ひがし東京夜間救急動物医療センター」を運営する東京イースト獣医協会動物医療センター
🎯 M&A目的:夜間救急・高度医療体制を強化することにより、地域全体の動物医療水準を向上させ、ペテモ(イオンペット)ブランドの医療ネットワークと地域密着型サービスを統合
📌 特徴:イオンペットは全国のグルーミングサロンやアニマルクリニックと連携する中、夜間救急病院の導入で医療サービスラインを補完。
📊 備考:M&Aにより完全子会社化され、夜間対応機能が追加されました
📅 実施日・公表日:子会社化公表は2025年2月5日、取得日は2025年2月7日
📍 対象病院:滋賀県守山市の「守山しっぽ動物病院」を運営するバハティー社
🎯 M&A目的:守山エリアに新拠点を展開し、WOLVES HANDが関西圏で展開する他病院との連携強化
📊 ファイナンシャル:売上約1.81億円、営業利益約2,800万円、純資産約1.75億円で、取得価額は3.69億円と報道
📌 特徴:安田動物病院(兵庫・西宮)も2025年1月にWOLVES HANDに参画済で、関西圏のネットワーク構築を本格化
買い手企業 | 対象病院名 | 実施時期 | 主な目的 | 取得規模/価格 |
イオンペット | 東京イースト獣医協会病院 | 2022年6月 | 夜間救急医療拠点として全国連携強化 | 非公表 |
WOLVES HAND | バハティー(守山しっぽ) | 2025年2月 | 関西圏での基盤拡充、新病院設置 | 約3.69億円 |
一方、スタッフ4名・年間利益400万円の地方小規模院が1,000万円で成約した例もあり、規模や収益性で大きく成約価格が異なります。
事例 | 規模 | 価格帯 | 事業継承理由 |
A社×B病院 | 都市・大型 | 8,000万円 | 企業連携・新規事業目的 |
C社×D動物病院 | 地方・小規模 | 1,000万円 | 院長引退・第三者承継 |
参照元: M&A総合研究所
価格は病院の「規模・収益性・スタッフ定着率・患者数・医療設備・立地条件」などで決まります。 評価手法としては「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」の3つが使われ、特に近年は“地域でのブランド力”や“口コミ評価”も加味される傾向です。
病院の強みや**ノウハウを“見える化”**しておくことで、評価アップや交渉力向上につながります。 具体的には、経営データ・患者継続率・スタッフ教育体制・地域連携実績などを整理し、買い手にアピールできる資料を準備しましょう。 また、専門家(M&A仲介・会計士等)の活用で適正な査定や有利な交渉が期待できます。
買収を検討する場合、将来的なリターン(ROI)やリスクを冷静に分析することが重要です。 デューデリジェンスでリスクを洗い出し、経営改善余地や投資回収期間も試算しましょう。 競合と差別化できる独自サービスや人材確保プランも、交渉時に説得力となります。
動物病院の事業承継(M&A)は、価格や条件だけでなく、院長やスタッフ、患者さんの未来も大きく左右する重要なプロセスです。
納得のいく承継・M&Aを実現するためにも、専門的な知見と経験豊富なサポートが欠かせません。
High Adoptionでは、動物病院専門の事業承継(M&A)仲介サポートを提供しています。
経験豊富な専門チームが、初めてのご相談から成約後のフォローまでしっかりサポート。
「どこから始めていいかわからない」「自院の価値を知りたい」など、どんなことでもお気軽にご相談ください。