不採択にありがち?事業再構築補助金の事業計画書における失敗点
2022年10月6日
2022年度の事業再構築補助金のうち、今年最後である第8回公募までにはさまざまな枠の廃止、新設がされるなど、要件が大幅に変わりました。そこで今回は、最新の要件をもとに特に変更が多かった第6回から最新第8回までの主な変更の流れについて、大まかにまとめてみました。
第5回までの公募では、通常枠の必須要件として以下のものが定められ、どちらの要件も満たさなければなりませんでした。
しかし第6回からは1が撤廃され、2の要件のみになりました。この緩和により、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に売上が下がったものの、早めに回復できた企業も申請ができるようになりました。
第6回から「回復・再生応援枠」が創設されています。新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、現在も事業再生に取り組んでいる中小企業を支援する目的で新設されました。
補助金の上限は1,500万円、補助率は中小企業なら3/4(通常枠は2/3)と手厚い支援を受けられることが特徴です。回復・再生応援枠は通常枠の要件にくわえ、以下の要件を満たす必要があります。
要件としては主な設備の変更が求められておらず、事業再構築に取り組むためのハードルが下げられています。
第6回から「グリーン成長枠」が創設。グリーン分野で事業再構築を行い、高い成長を目指している事業者を支援する目的で新設されました。
グローバルな問題となっている「温室効果ガス」削減のため、カーボンニュートラルに向けた技術開発、設備投資などの企業取り組みを行う分野です。
補助金の上限は1.5億円(中堅企業の場合)、補助率は中小企業が1/2、中堅企業は1/3までとなっています。
またグリーン成長枠は過去の公募で採択されていても再度申請できること、そして売上高10%減少要件が課されないことが特徴です。代わりに以下の要件を満たす必要があります。
※従業員の10%以上が年間20時間以上の外部研修又は専門家を招いたOJT研修を受けることが必要
通常枠でも事業計画の策定は求められているものの、付加価値額の年率平均は3.0%以上増加となっているため、より厳しい条件が求められていると言えます。グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の詳細については以下のサイトからご確認ください。
第6回ではさらに、通常枠の補助上限額が下げられています。これは限られた政策資源の中でより多くの事業者を支援することが目的です。
第5回までは、従業員の数によって4,000万円、6,000万円、8,000万円が上限とされていました。しかし第6回からは、4,000万円が2,000万円、6,000万円が4,000万円と2,000万円ずつ下げられ、101人以上の企業だけ上限額が維持されています。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 | |
---|---|---|---|
第5回公募まで | 第6回公募以降 | ||
20人以下 | 100~4,000万円 | 100~2,000万円 |
中小企業 2/3 (6,000万円越えは1/2) 中堅企業 1/3 (4,000万円越えは1/3) |
21~50人 | 100~6,000万円 | 100~4,000万円 | |
50~100人 | 100~8,000万円 | 100~6,000万円 | |
101人以上 | 100~8,000万円 |
第6回では2つの枠が新設されたことに伴い、次のように枠が廃止されています。
緊急事態宣言特別枠は、令和3年の緊急事態宣言により深刻な影響を受けた事業者を支援するためのもの。卒業枠・グローバルV字回復枠は、事業の転換やグローバル展開により事業の再構築を支援するためのものです。
しかし、これらは新型コロナウイルスの影響を受けた直後の企業を支援するもので、影響が長期化している現状には合わなくなっています。そのため現在の政府の方針や、情勢に合わせて枠や要件も柔軟に変更されているのです。
第7回には「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」が創設されました。新型コロナウイルスの影響にくわえ、ウクライナ情勢により原油や物価が高騰するなど、経済環境の変化の影響を大きく受けた企業を支援することが目的です。
補助金の限度額は4,000万円と通常枠の2倍の額で、補助率も3/4(中小企業の場合)と非常に充実した支援となっています。また要件としては通常枠の「売上高10%減少要件」以外の要件を満たしていることにくわえ、以下の要件を満たす必要があります。
※申請時に新型コロナウイルスによって受けている影響を申告する必要がある
なお緊急対策枠はほかの特別枠と違い、不採択となった場合自動で通常枠の再審査をしてもらえません。もし再審査を希望するのであれば、申請時に「コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類」を添付、つまり「売上高10%減少要件」を満たしている必要があります。
第8回では、最低賃金枠の要件が一部緩和されました。これは、令和4年10月に全国平均で31円の最低賃金の引き上げが行われたことから、この影響を大きく受けた事業者を支援することが目的です。具体的な要件緩和の内容は以下の通りです。
補助金の上限や補助率、売上高減少要件には変更がないものの、より申請や採択がされやすくなりました。
今回は2022年度の事業再構築補助金に関する主な変更点について、大まかにまとめてみました。事業再構築補助金は情勢などにあわせて柔軟に内容を変化させており、枠の新設や要件の緩和によって、より申請や採択がしやすくなっています。ぜひ今年最後である第8回の公募に挑戦してみてはいかがでしょうか。
「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること」
「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少していること」
コロナの影響で一時的に売上が下がったものの、早めに回復できた企業も申請ができるように!
緊急事態宣言特別枠回復・再生応援枠
卒業枠・グローバルV字回復枠グリーン成長枠
コロナの影響が長期化している現状に合わせて、変更!
原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)
コロナの影響にくわえ、ウクライナ情勢により原油や物価が高騰するなど、経済環境の変化の影響を大きく受けた企業を支援することが目的で新設!
2020年10月から2021年6月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること2021年10月から2022年8月までに期間が変更
製品等の新規性要件の「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」任意要件に変更
2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること
補助金の上限や補助率、売上高減少要件には変更がないものの、より申請や採択がされやすく!
株式会社High Adoption(ハイアドプション)では、事業再構築補助金やものづくり補助金の申請支援をしています。補助金でお困りの方は、ぜひ補助金のプロであるHigh Adoptionにお気軽にご相談ください。