事業再構築補助金の申請に必要な手続きは?採択率は?

中小企業庁主導の他の補助金の申請手順を鑑みて、大まかな手順として上記の流れとなりそうです。それぞれ、詳しく解説をしていきます。

STEP1:自社が申請資格を満たすかを確認

まずは自社が事業再構築補助金の申請資格を満たしているかどうかを確認しましょう。

既に発表されている条件は下記の4つです。

  1. 中小企業・中堅企業であること
  2. 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
  3. 事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組むこと
  4. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加を達成すること

それぞれ確認していきます。

1.中小企業・中堅企業であること

中小企業基本法の定義では、業種ごとに中小企業の基準が設定されており、①資本金の額②常時使用する従業員の数、どちらかが基準を満たしている法人又は個人事業主を「中小企業」と定めています。下記の表に当てはまる場合は「中小企業」に分類されると考えてください。

ここでのポイントは、資本金の額または従業員数のどちらかの基準を満たしていれば、両方を満たす必要はないという点です。この点はよく勘違いをされやすい箇所ですので、注意してご確認ください。

業種分類中小企業基本法の定義
製造業
その他
資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

上記の基準を満たさない(資本金も従業員数も基準より多い)企業は申請ができないか、と言われればそんなこともありません。

申請要件は「中小企業または中堅企業であること」とあります。それでは、中堅企業の定義とは何なのでしょうか?

結論から申し上げますと、中小企業基本法にて明確な基準が設けられていません。(資本金が1~10億円の企業を中堅企業と呼ぶケースもありますが、法律によって定められた定義ではありません)

ここは残念ながら事業再構築補助金の公募要領にて明示されると思われますので、続報を待つほかありません。

2.申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること

新型コロナウイルスの影響で昨年の同月よりも売り上げが減少している必要があります。

持続化給付金や家賃支援補助金の提出書類を鑑みると、この減少を証明するために、①昨年の法人事業概況説明書 、②今年度の売上台帳、この2点の提出が求められると推察されます。

①法人事業概況説明書には月別の売上高が記載されています。②の売上台帳はExcelで作成した簡単なもので問題ないと思われますが、売上高が本当に下がっているかのチェックが国から入るはずなので、しっかりと実状に沿った売上台帳を作成しましょう。

3.事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組むこと

STEP3にて詳しく説明をしますが、国が設けている「認定支援機関の認定」を受けている企業や団体に協力を仰ぎ、事業計画書のお墨付きをもらう必要があります。

認定支援機関の認定を受けているのは、主に銀行・信用金庫・税理士事務所・会計士事務所・民間コンサルティング会社などです。

この要件に関しては、協力してくれる認定支援機関を見つけ、コンタクトを取り、協力をお願いするという作業になるので、要件を満たせないというケースは少ないでしょう。

4.補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加を達成すること

まず、ものづくり補助金と同様に、事業計画書を作成する段階で、補助事業を行うことで3~5年間の売上高/人件費/減価償却費/営業利益等がどのように推移するかという財務モデルを策定し、提出する必要があると推察されます。このモデル内の付加価値額の数値が、年率3.0%(3年後9.0%、4年後12.0%、5年後15.0%)を超えている計画を出す必要があるということです。

付加価値額営業利益人件費減価償却費

ここで、付加価値額について説明をします。

上記の3つの数値を足し合わせ額を付加価値額と言います。(例外もありますが)人件費、減価償却費を増やせばその分営業利益は下がるため、基本的には如何に利益を上昇させる計画が作れるかというところが争点になります。

STEP2:加点となる各種認定を取得

次に、加点項目について考察します。

ものづくり補助金やIT導入補助金では、事業計画のほかに、加点となる認定や賃金の引上げ要件がありました。

これまでの補助金の加点項目を分類すると、①国が設けている認定を取得すると得られる加点②企業の現状や今後の計画よって得られる加点の2種類に分けることができます。

項目内容
①国が設けている認定を取得すると得られる加点
経営力向上計画の取得中小企業や小規模事業者が、人材育成やコスト管理、設備投資など、経営力を向上させるために取り組む内容を記載した事業計画です。
先端設備導入計画の取得中小企業・小規模事業者などが、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画でです。
事業継続力強化計画の取得地震などの災害が発生した際に、事業の早期復旧や、従業員を守るための行動を事前に準備しておくための制度です。
おもてなし規格認証の取得経済産業省が創設した、サービス産業事業者のサービス品質を「見える化」するための規格認証です。
②企業の現状や今後の計画よって得られる加点
賃金の引上げ従業員の給与支給総額、最低賃金を一定以上引き上げることで加点となります。
創業もしくは第二創業から5年以内創業から5年以内、または老舗企業が2代目社長に事業承継した場合でも5年以内なら対象となります。
小規模事業者「小規模企業者」とは、従業員20人以下(商業(卸売業・小売業)・サービス業は5人以下)の事業者等を指します。

本補助金でも同様に加点項目があると考えられます。

①の認定を取得するには5-15P 程の、別個の計画を作成し、必要書類とともに管轄の自治体や省庁に提出をする必要があるものが多く、かなりの労力がかかります。②の加点については、外的要因によって定められているものについては対策が出来ませんが、賃金の引上げ等の加点については引上げ額の実現可能性を加味し、狙っていくべきと考えます。

本補助金に関しては、「売上が下がっている企業向けの補助金のため、賃金引上げの要件は設定されないのでは?」という見方もありますが、年間3.0%以上の付加価値額の向上を条件にしていることから、その一部を従業員に還元するインセンティブを持たせる意味で、賃金の引き上げが加点になる可能性は十分にあと思われます。

STEP3:協力してもらう認定支援機関を見つける

本補助金の申請時には、認定支援機関に協力を依頼し、事業計画のお墨付きをもらう必要があります。
※認定支援機関・・・国の認定を受けている銀行、信用金庫、税理士事務所、会計士事務所など

これは平成30年度までのものづくり補助金に近い形になると予想されます。

基本的には申請事業者(または事業者が依頼している作成支援業者)が作成する事業計画書を認定支援機関が確認し、修正箇所を指摘、提出ができる状態になれば確認した旨の書類に捺印をする、といった流れです。

(以下:ものづくり補助金にて使用されていた「認定支援機関確認書」)

ここで注意したいことは、あくまで認定支援機関は事業計画書のチェックを行う機関です。

事業計画書の内容を見て気づいた点は指摘をしてくれますが、事業計画書の作成を代行してくれるわけではありません

事業計画の作成能力に優れたコンサルティング会社や会計士・税理士等の士業の方に申請支援を依頼するか、自社で事業計画書をしっかりと作成する必要があります。

STEP4:事業計画書を作成する

この事業計画書が補助金申請上での最も作成コストが大きく、補助金の合否に直結する資料です。

作成が難しいと言われる、ものづくり補助金や経営革新計画並みの文章量、クオリティでの作成が採択には不可欠かと思われます。

文章量

ものづくり補助金ではA4用紙10P程度での事業計画書の作成が求められていますが、恐らくこれと同等程度の文章量が求められるでしょう。

本補助金の補助金額を考えると(ものづくり補助金:最大1,000万円、事業再構築補助金:最大1億円)更に長く綿密な計画が必要になるという考え方もできますが、その分審査に係る時間やコストが増加してしまうという審査側の問題もあるでしょう。

事業再構築補助金の予算額(約1兆1,100億円)を考えると、年間で少なくとも1万件以上の採択を出すことになります。これはものづくり補助金と同等(より少し多いくらい)の採択数ですので、審査側に係るコストを考えれば文章量をむやみに増やすことはないかと考えます。

何を書けばいいか

記載すべき内容については一般的な事業計画書の作成時に必要な項目加え、事業再構築補助金独自の審査項目が設定されるでしょう。

審査項目についてもものづくり補助金が参考になので、具体的な審査項目を掲載します。

もの補助の審査項目を載せる
一般的な事業計画書に求められる内容
  • 会社概要
  • 既存のサービス
  • 自社の強み
  • 事業内容
  • 市場/競合分析
  • 実施体制や遂行スケジュール…等
事業再構築補助金にて求められ(そうな)内容
  • 既存事業と転換後の事業の関連性
  • 新分野の展開や事業再編に資する取り組みか(既存事業からの変化がきちんとあるか)
  • 諸政策との関連性があるか(特にCO2排出量の抑制につながるか、等は組み込まれそうです)
  • 付加価値額年率3.0%増加の達成が現実的な計画か

上記のような内容を具体的かつ審査員に伝わりやすく記載し、事業計画書を作成していく必要があると予想されます。

STEP4:提出書類をまとめ、電子申請システム上で申請を行う

全ての必要資料をまとめて電子申請システムで申請を行うこととなります。
一昨年までは印刷した資料をファイルに閉じて行政へ提出するという流れが一般的でしたが、補助金関連の手続きも昨年からやっと電子化が進んできました。
現在多くの補助金は、J-grantsというシステムを通じて提出書類のやり取りが行われています。

J-grantsにログインするために必要な「gBizIDプライム」のアカウント作成については、申請をお考えの場合には今からでも着手をしておくべきかと思います。
(必要書類を提出してから登録完了までに通常2-3週間がかかりますので、申請締切ギリギリに手続きをすると間に合わない可能性もあります。)

まとめ

さて、本記事では実際に事業再構築補助金の申請を行う際に必要と思われる5つのステップについて説明をしてきました。

公募要領の発表はまだ先になりますので正式にはまだ分かりませんが、これまでの補助金申請のシステムを考えれば、大きく流れがずれることはないと思われます。
公募要領が発表されるとともに申請受付が始まると予想されますので、本補助金にご興味をお持ちの方は、①自社ではどんな事業転換が考えられるか、②その際にどんな費用が発生してきそうか、③実際に係る金額はいくらくらいになりそうか、この辺りを事前に調べておくとスムーズに申請に繋げられると思います。

2月頃に申請開始の見込みですので、今後も最新情報の発表をこまめにチェックしましょう。本ウェブサイトでも新情報が入り次第まとめて参ります。

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